2012年1月22日日曜日

アケハルの岩

たまには趣向を変えてみる(といっても只の引用)


大室寅之祐について王仁三郎が言及していたとされる箇所

『霊界物語』67巻
第六章 浮島の怪猫



波切丸は万波洋々たる湖面を、西南を指して、船舷に皷を打ちながら、いともゆるやかに進んでゐる。天気清朗にして春の陽気漂ひ、あるひは白くあるひは黒くあるひは赤き翼を拡げた海鳥が、あるひは百羽、千羽と群をなし、怪しげな声を絞つて中空を翔けめぐり、あるひは波間に悠然として、浮きつ沈みつ、魚を漁つてゐる。アンボイナは七八尺の大翼を拡げて一文字に空中滑走をやつてゐる。その長閑さは天国の楽園に遊ぶの思ひがあつた。

前方につき当つたハルの湖水第一の、岩のみを以て築かれた高山がある。国人はこの島山を称して浮島の峰と称へてゐる。一名夜光の岩山ともいふ。船は容赦もなくこの岩山の一浬ばかり手前まで進んで来た。船客は何れもこの岩島に向かつて、一斉に視線を投げ、この島に関する古来の伝説や由緒について、口々に批評を試みてゐる。

甲『皆さま、御覧なさい。前方に雲を凌いで屹立してゐる、あの岩島は、ハルの湖第一の高山で、いろいろの神秘を蔵してゐる霊山ですよ。昔は夜光の岩山といつて、岩の頂辺に日月のごとき光が輝き、月のない夜の航海には燈明台として尊重されたものです。あのスツクと雲を抜き出た山容の具合といひ、全山岩をもつて固められた金剛不壊の容姿といひ、万古不動の霊山です。この湖水を渡る者はこの山を見なくつちや、湖水を渡つたといふことは出来ないのです』

乙『成るほど、見れば見るほど立派な山ですな。しかしながら、今でも夜になると、昔と同じやうに光明を放つてゐるのですか』

『この湖水をハルの湖といふくらゐですもの、暗がなかつたのです。しかしながらだんだん世の中が曇つた所為か、年と共に光がうすらぎ、今ではほとんど光らなくなつたのです。そして湖水の中心に聳え立つてゐたのですが、いつの間にやら、その中心から東へ移つてしまつたといふことです。万古不動の岩山も根がないと見えて浮島らしく、あまり西風が烈しかつたと見えて、チクチクと中心から東へ寄つたといふことです』

『なるほど文化は東漸するとかいひますから、文化風が吹いたのでせう。しかし日月星辰何れもみな西へ西へと移つて行くのに、あの岩山に限つて、東へ移るとは少し天地の道理に反してゐるぢやありませぬか。浮草のやうに風に従つて浮動するやうな島ならば、何ほど岩で固めてあつても、何時沈没するか知れませぬから、うつかり近寄るこた出来ますまい』

『あの山の頂を御覧なさい。ほとんど枯死せむとするやうなひねくれた、ちつぽけな樹木が岩の空隙に僅かに命脈を保つてゐるでせう。山高きが故に尊からず、樹木あるを以て尊しとす……とかいつて、なにほど高い山でも役に立たぬガラクタ岩で固められ、肝心の樹木がなくては、山の山たる資格はありますまい。せめて燈明台にでもなりや、山としての価値も保てるでせうが、大きな面積を占領して、何一つ芸能のない岩山ではサツパリ話になりますまい。それも昔のやうに暗夜を照らし往来の船を守つて、安全に彼岸に達せしむる働きがあるのなれば岩山も結構ですが、今日となつては最早無用の長物ですな。昔はあの山の頂に特に目立つて、仁王のごとく直立してゐる大岩石を、アケハルの岩と称へ、国の守り神様として、国民が尊敬してゐたのです。それが今日となつては、少しも光がなく、おまけにその岩に、縦に大きなヒビが入つて、何時破壊するか分らないやうになり、今は大黒岩と人が呼んでをります。世の中はこれを見ても、このままでは続くものではありますまい。天の神様は地に不思議を現はして世の推移をお示しになるといひますから、これから推考すれば、大黒主の天下も余り長くはありますまいな』

『あの岩山には何か猛獣でも棲んでゐるでせうか』

『妙な怪物が沢山棲息してゐるといふ事です。そしてその動物は足に水かきがあり、水上を自由自在に游泳したり、山を駈け登ることの速さといつたら、まるきり、風船を飛翔したやうなものだ……とのことです。昔は日の神、月の神二柱が、天上より御降臨になり、八百万神を集ひて日月の如き光明を放ち、この湖水は素より、印度の国一体を照臨し、妖邪の気を払ひ、天下万民を安息せしめ、神様の御神体として、国人があの岩山を尊敬してゐたのですが、おひおひと世は澆季末法となり、何時しかその光明も光を失ひ、今や全く虎とも狼とも金毛九尾とも大蛇とも形容し難い怪獣が棲息所となつてゐるさうです。それだから吾々人間が、その島に一歩でも踏み入れやうものなら、忽ち狂悪なる怪獣の爪牙にかかつて、血は吸はれ、肉は喰はれ骨は焼かれて亡びるといつて恐がり、誰も寄りつかないのです。風波が悪くつて、もしも船があの岩島にブツかからうものなら、それこそ寂滅為楽、再び生きて還る事は出来ないので、このごろでは、ひそびそとあの島を悪魔島と言つてゐます。しかし大きな声でそんなこと言はうものなら、怪物がその声を聞き付けて、どんなわざをするか分らぬといふことですから、誰も彼も憚つて、大黒岩に関する話は口を閉じて安全無事を祈つてゐるのです。あの島があるために、少し暴風の時は大変な大波を起し、小さい舟は何時も覆没の難に会ふのですからなア。何とかして、天の大きな工匠がやつて来て大鉄槌を振ひ、打ち砕いて、吾々の安全を守つてくれる、大神将が現はれさうなものですな』

『何と、権威のある岩山ぢやありませぬか。つまりこの湖面に傲然と突つ立つて、あらゆる島々を睥睨し、強持てに持ててゐるのですな』

『あの岩山は時々大鳴動を起し、噴煙を吐き散らし、湖面を暗に包んでしまふ事があるのですよ。その噴煙には一種の毒瓦斯が含有してゐますから、その煙に襲はれた者はたちまち禿頭病になり、あるひは眼病を煩ひ、耳は聞こえなくなり、舌は動かなくなるといふ事です。そして肚のすくこと、咽喉の渇くこと、一通りぢやないさうです。そんな魔風に、をりあしく出会した者はいい災難ですよ』

『丸つ切り蚰蜒か、蛇蝎のやうな恐ろしい厭らしい岩山ですな。なぜ天地の神さまは人民を愛する心より、湖上の大害物を取り除けて下さらぬのでせうか。あつて益なく、なければ大変、自由自在の航海が出来て便利だのに、世の中は、神様といへど、ある程度までは自由にならないとみえますな』

『何事も時節の力ですよ。金輪奈落の地底からつき出てをつたといふ、あの大高の岩山が、僅かの風ぐらゐに動揺して、東へ東へと流れ移るやうになつたのですから、もはやその根底はグラついてゐるのでせう。一つレコード破りの大地震でも勃発したら、手もなく、湖底に沈むでしまふでせう。オ、アレアレ御覧なさい。頂上の夫婦岩が、何だか怪しく動き出したぢやありませぬか』

『風も吹かないのに、千引の岩が自動するといふ道理もありますまい。舟が動くので岩が動くように見えるのでせう』

『ナニ、さうではありますまい。舟が動いて岩が動くやうに見えるのなれば、浮島全部が動かねばなりますまい。他に散在してゐる大小無数の島々も、同じやうに動かねばなりますまい。岩山の頂上に限つて動き出すのは、ヤツパリ船の動揺の作用でもなければ、変視幻視の作用でもありますまい。キツとこれは何かの前兆でせうよ』

『そう承れば、いかにも動いてをります。あれあれ、そろそろ夫婦岩が頂の方から下の方へ向かつて歩き始めたぢやありませぬか』

『なるほど妙だ。段々下つて来るぢやありませぬか。岩かと思へば虎が這うてゐるやうに見え出してきたぢやありませぬか』

いかにも大虎ですワイ。アレアレ全山が動揺し出しました。こいつア沈没でもせうものなら、それだけ水量がまさり、大波が起つて、吾々の船も大変な影響をうけるでせう。危ない事になつて来たものですワイ』

かく話す内、波切丸は浮島の岩山の間近に進んだ。島の周囲は何となく波が高い。虎と見えた岩の変化は磯端に下つて来た。よくよく見れば牛のやうな虎猫である。虎猫は波切丸を目をいからして睨みながら、逃げるが如く湖面を渡つて夫婦連れ、西方指して浮きつ沈みつ逃げて行く。にはかに浮島は鳴動をはじめ、前後左右に全山は揺れて来た。チクリチクリと山の量は小さくなり低くなり、半時ばかりの内に水面にその影を没してしまつた。あまり沈没の仕方が漸進的であつたので、恐ろしき荒波も立たず、波切丸を前後左右に動揺するくらゐですむだ。

一同の船客はこの光景を眺めて、何れも顔色青ざめ、「不思議不思議」と連呼するのみであつた。この時船底に横臥してゐた梅公宣伝使は、船の少しく動揺せしに目を醒まし、ヒヨロリヒヨロリと甲板に上つて来た。さしもに有名な大高の岩山は跡形もなく水泡と消えてゐた。そして船客が口々に陥没の記念所を話してゐる。梅公は船客の一人に向かつて、

『風もないのに、大変な波ですな。どつかの島が沈没したのぢやありませぬか』

甲『ハイ、あなた、あの大変事を御覧にならなかつたのですか。ずゐぶん見物でしたよ。昔から日月の如く光つてゐた頂上の夫婦岩は俄かに揺るぎ出し、終ひの果には大きな虎となり、磯端へ下つて来た時分には猫となり、波の間を浮きつ沈みつ、西の方へ逃げて行つたと思へば、チクリチクリと島が沈み出し、たうとう無くなつてしまひました。こんな事は昔から見た事はありませぬ。コリヤ何かの天のお知らせでせうかな』

(後略)



・・・「アケハル」は「明治」、「大虎」は「大室寅之祐」の意味ダヨ、と言われて読むと笑える一節ではある。



ぼちぼち孝明天皇関連へと進みませうか。。。(気が重い)

14 件のコメント:

悲しき秀才 さんのコメント...

オンラインストレージのアフィ完全終了
TOC?w

匿名 さんのコメント...

>西へ西へ 東へ東へ

いろいろタイムリーで2012年・知っておくべき真実という感じですね。
旧ブログの和宮シリーズみたいな雰囲気で好きです、続編期待してます。

悲しき秀才 さんのコメント...

>「沖縄に硫黄島」田中防衛相

広義の沖縄(?)=南西諸島にちゃんと硫黄島あるじゃないですか。

硫黄島 (鹿児島県)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AB%E9%BB%84%E5%B3%B6_%28%E9%B9%BF%E5%85%90%E5%B3%B6%E7%9C%8C%29

安徳天皇
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%BE%B3%E5%A4%A9%E7%9A%87

時節柄、大河ドラマのステマ?
いいえ、三種の(ry

悲しき秀才 さんのコメント...

あと
「水族館だとか」発言

水族館≒現代の竜宮城

ということでこちらもやっぱり

竜宮城 安徳天皇

時節柄、大河ドラマのステマ?
いいえ、三種(ry

ミネ さんのコメント...

広義というか竜宮というか・・
丁度 波斯の読み方でググッてて
薩摩で白波溜飲下った時にあのニュースがキタんで
タイムリー過ぎて茶噴いたんで個人的には田中夫恐るべしデス
田原 総一朗が大絶賛してた時は何言ってんだかとせせらでしたが
自分が老人で茶が餅だったらヤバィはずww

白田 正宗 さんのコメント...

>竜宮城 安徳天皇
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/hyoron/news/20120116ddlk35070171000c.html

門司 和布刈神事
和布 龍宮

能の海人でも奥義抄の橋姫でも
海草刈りと龍宮はセットですね

剣が壇ノ浦に沈んだ(ということになった)のも
この辺りの絡みでしょうか……

匿名 さんのコメント...

>剣が壇ノ浦に沈んだ
なるほど…

和布刈≒藻刈

入れ替えてみると
赤間神宮 藻刈

登場人物
大原御幸 寂光院 徳大寺 花山院 土御門 
寂光院 聖徳太子

匿名 さんのコメント...

忘れもの
http://www.tiki.ne.jp/~akama-jingu/senteisai-3.html

ページの一番下

悲しき秀才 さんのコメント...

失言、おっと、湿原で有名な尾瀬(今上陛下と高松宮殿下がよく行かれていたようですが)にも何故か「竜宮」ってありますね。
こちらも

尾瀬三郎 平氏

・・・一種の山中他界プラス湿原祭祀関係でしょうか

悲しき秀才 さんのコメント...

衣袖漬常陸
ころもそでひたち
衣袖漬常陸國風土記
常陸国風土記
懐風藻 「藻」

悲しき秀才 さんのコメント...

<ポエム>w
http://sassasa1234.seesaa.net/article/104489317.html

悲しき秀才 さんのコメント...

後ろの正面 ミトラ

籠船 竜宮
とかw

以上3つのコメhttp://crowker.seesaa.net/article/248320354.html

匿名 さんのコメント...

>藻刈り=モガリ=殯
あれまぁ

>・・・一種の山中他界プラス湿原祭祀関係
常世。他界信仰ですね。
常陸は他界とみなされてたわけですね。
海上他界?地中他界?どちらでしょう。

>後ろの正面 ミトラや籠
結局、物部さんと蘇我さんと藤原さんに1周して戻ってきたかのようですね。


>そがひめじんじゃ
>蘇我氏は春日大社と比咩神社を信仰しており
Wikiのくだり、、春日大社に比咩神社
なんぞこれw時代から考えると…

>弟橘姫が「我、蘇(よみがえ)り」と言ったので「蘇我」という地名となったともいう。
微妙すぎ…w

籠船で思い出しましたが鯨船
http://www.tomida.net/maturi/newkujira.html
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20120110/CK2012011002000096.html

地方に祭事にいろいろ興味深いものが残ってるんですね。

匿名 さんのコメント...

王仁三郎sanは、何をどこまでご存知だったんでしょうね。